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『永遠の記憶』ネタバレあり感想・考察|結末と事件の真相を振り返る

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『永遠の記憶』を読み終えて、

「あの事件は結局どういうことだったのか」

「最後に明かされた事実をほかの人はどう感じたのか」

と気になった方もいるのではないでしょうか。

この記事では、東野圭吾さんのガリレオシリーズ『永遠の記憶』について、結末まで含めて感想と物語を振り返ります。

これから読む予定の方には重大なネタバレになります。未読の方は、先にネタバレなしの感想記事を読んでいただくのがおすすめです。

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目次

ここから先は『永遠の記憶』のネタバレを含みます

ここからは、事件の真相や結末、『容疑者Xの献身』とのつながりまで触れます。

『永遠の記憶』と『容疑者Xの献身』の両方について重大なネタバレがあります。

未読の方はご注意ください。

『永遠の記憶』は内海薫が刺されるところから始まる

『永遠の記憶』で最初に驚かされたのは、内海薫が何者かに刺されるという始まり方でした。

内海を刺したのは、三崎茂久という70歳ほどの老人です。

三崎は犯行後に自殺を図りますが失敗。

その後も取り調べではほとんど語ろうとしません。

さらに驚いたのが、内海がいつの間にか結婚し、子どものいる母親になっていたことです。

ガリレオシリーズを長く読んできただけに、「そこまで時間が経ったんだ」と、事件とは別のところでもかなり驚きました。

湯川や草薙だけでなく、内海にもきちんと人生が続いていたんですよね。

内海薫が狙われた原因は6年前の事件にあった

事件をたどってい紗穂、内海が6年前に担当した事件へとつながっていきます。

その事件では、藤村倫子という女性が夫を殺害していました。

背景にあったのは、夫から娘の紗穂への性的虐待です。倫子は娘を守るために夫を殺し、逮捕されます。

ところが倫子は服役中に自ら命を絶ってしまいます。

母親と再び一緒に暮らせる日を待っていた紗穂にとって、それはあまりにも大きな喪失でした。

そして紗穂は、自分の母親を逮捕した刑事である内海に強い感情を抱くようになります。

内海からすれば職務として捜査しただけですが、紗穂からすれば「母親を奪った存在」に見えてしまったのでしょう。

その感情がさらに強くなるきっかけが、内海と偶然再会したことでした。

紗穂が働いているスーパーへ内海が客として訪れます。

しかも内海には家庭があり、息子と暮らしています。

自分は母親を失った。

一方で、自分の母親を逮捕した刑事は、母親として家庭を築いている。

もちろん内海に非があるわけではありません。それでも、紗穂の中では割り切れない感情が膨らんでいきます。

このあたりは、単純に「逆恨み」で片付けてしまうには少し苦しいところでした。

三崎はなぜ内海を刺したのか

紗穂が絶望していたときに出会ったのが三崎です。

三崎自身も過去に娘を失っており、紗穂にその面影を重ねるようになります。

やがて紗穂が内海への復讐を考えていることを知り、三崎はそれを止めようとします。

ただ、彼が選んだ方法もまた普通ではありませんでした。

紗穂がさらに重大なことをしてしまう前に、自分が先に内海を襲う。

その結果として起きたのが、物語冒頭の刺傷事件です。

つまり、三崎は単純に内海を憎んで刺したわけではありません。

紗穂を守ろうとして、自分が罪を背負おうとした人物でした。

ここまで読んだところで、ガリレオシリーズを追ってきた人なら、ある作品が頭に浮かんだのではないでしょうか。

私はかなり強く『容疑者Xの献身』を思い出しました。

『容疑者Xの献身』と似た構図がもう一度描かれる

『容疑者Xの献身』では、花岡靖子と娘の美里を守るため、石神が自ら罪を重ねてまで動きます。

そして今回も、

誰かを守りたいと思った人間が、自分を犠牲にして罪を背負おうとする。

似た構図が形を変えて繰り返されています。

『永遠の記憶』だけでも一つの事件として成立していますが、ここから先を読むと、この類似が単なる偶然ではなかったことが分かります。

三崎自身が、過去のガリレオシリーズとつながる人物だったからです。

三崎の過去から『容疑者Xの献身』の“名もなき被害者”につながる

『永遠の記憶』で私が一番驚いたのは、三崎の過去を追っていった先でした。

三崎が若い頃に知り合っていた人物の一人が、鶴巻和正です。

この名前だけでは、ピンとこない人もいると思います。

しかし鶴巻は、『容疑者Xの献身』で石神のトリックのために殺されたホームレスの男性でした。

『容疑者Xの献身』では、石神が富樫慎二の遺体と別人の遺体を入れ替えることで、警察の捜査を混乱させます。

そのために何の関係もない人間が一人殺されています。

物語を読んでいた当時は、どうしても石神と靖子、そして石神のトリックに目が向きます。

私自身もそうでした。

でも考えてみれば、トリックのために殺されたその人物にも当然人生があったはずなんですよね。

『永遠の記憶』では、その「名前すらほとんど意識していなかった被害者」に、鶴巻和正という名前と人生が与えられます。

ここはかなり衝撃的でした。

石神の「献身」を、別の方向から見せられた気がした

『容疑者Xの献身』を読んだとき、どうしても石神の靖子への思いに目がいきます。

自分の人生をすべて投げ出してまで靖子と美里を守ろうとした。

そこに強烈な悲しさがありました。

一方で、『永遠の記憶』を読むと、その裏側で犠牲になった人間の存在をあらためて意識させられます。

鶴巻は石神とも靖子とも関係ありません。

ただ、石神の計画に都合がよかったために命を奪われた人物です。

もちろん『永遠の記憶』を読んだからといって、『容疑者Xの献身』という作品の魅力が薄れるわけではありません。

ただ、同じ事件を見る角度が変わりました。

石神の行動を「究極の献身」として見るだけではなく、その献身のために犠牲になった人間もいたという事実が、20年近い時間を経て戻ってきます。

私はここが、『永遠の記憶』の中でも特に面白いところだと思いました。

石神から湯川へ送られていたもの

さらに終盤では、『容疑者Xの献身』の事件後についても新しい事実が明かされます。

石神の事件からしばらく経ったころ、湯川のもとに数学に関する文書が届いていました。

しかし、それは単なる数学の話ではありません。

そこには石神から湯川へ伝えるための情報が隠されていました。

湯川はそこから、石神が殺害した人物について知ることになります。

そして、その人物に家族がいることも。

それでも湯川は、その事実を長い間、草薙には話していませんでした。

草薙に話せば、たとえすでに終わった事件であっても、刑事として真相を追おうとする。

湯川はそう考えていたのでしょう。

科学者として真実を明らかにすることを重視してきた湯川が、知っていることをあえて語らない。

ここにも、昔の湯川とは少し違うものを感じました。

美里の「その後」まで描かれる

そして、『容疑者Xの献身』を読んだ人にとってもう一つ驚くのが、美里のその後です。

大人になった美里は、鶴巻の家族に対して金銭的な支援を続けていました。

石神に守られた側の人間が、石神によって犠牲になった人の家族を支えている。

すべてが元に戻るわけではありません。

鶴巻の命が戻ってくることもありません。

それでも、20年前に起きた事件が完全に忘れ去られていたわけではなかった。

『永遠の記憶』というタイトルを考えたとき、この部分はかなり大きな意味を持っているように感じました。

「永遠の記憶」というタイトルが最後に効いてくる

最初にタイトルを見たときは、「記憶」が何を指しているのか、そこまで深く考えていませんでした。

でも最後まで読むと、このタイトルがかなり重く感じられます。

警察にとって事件は解決すれば「過去の事件」になります。

事件記録として整理され、次の事件へ進んでいく。

けれど、そこに関わった人にとっては違います。

母親を失った紗穂。

娘を守ろうとした三崎。

石神に殺された鶴巻。

そして、その出来事を長い間記憶していた湯川。

時間が経っても、本人や周囲の人間にとって消えないものがあります。

だから私は、『永遠の記憶』というタイトルは、単純に「昔の事件を思い出す」という意味ではなく、誰かの人生の中に残り続ける出来事を表しているように感じました。

内海薫が結婚して母親になっていたことにも驚いた

事件の真相とは少し離れますが、個人的には内海の変化もかなり印象に残りました。

まさか結婚して、子どもまでいるとは思っていませんでした。

私はガリレオシリーズを読んできて、内海と湯川の関係がこの先どうなるのか、どこかで少し期待していたところもありました。

だから最初に知ったときは、

「え、結婚したの?」

という驚きの方が大きかったです。

でも読み進めていくと、それ以上に感じたのは時間の流れでした。

シリーズの中ではいつも事件を追っていた内海にも、事件とは関係のない日常があり、家庭がある。

湯川も草薙も内海も、ずっと同じ場所にいたわけではないんですよね。

シリーズを長く読んできたからこそ、その変化が少し寂しくもありました。

一番好きだったのは、事件解決後の牡蠣料理の場面

私が『永遠の記憶』で一番好きだったのは、大きな謎が解ける場面ではありません。

事件がひと段落したあと、湯川、草薙、内海の3人で牡蠣料理を食べる場面でした。

派手な場面ではないのですが、長くシリーズを読んできた自分には妙に心に残りました。

湯川はアードベッグをソーダ割りで、草薙はロックで飲んでいます。

事件について話しているはずなのに、どこか昔の3人に戻ったような雰囲気があります。

一方で、話している内容からは確実に年月が流れていることも感じます。

草薙は立場が変わり、湯川もいつまでも同じ環境にいるわけではありません。

内海についても、これから先ずっと現場の刑事を続けるとは限らない。

3人が一緒に事件を追うことが当たり前だった時間にも、終わりが近づいている。

そんなことを感じさせる場面でした。

大きな事件のあとに、3人で料理を食べながら話している。

私はこういう場面が好きです。

ミステリーとしての驚きとは別に、「この人たちを長く読んできたんだな」と感じられる時間でした。

『永遠の記憶』は『容疑者Xの献身』を読んでから読むと印象が変わる

『永遠の記憶』単体でも、内海が刺された事件の真相を追うミステリーとして読むことはできます。

ただ、読後の印象は『容疑者Xの献身』を知っているかどうかでかなり変わると思います。

特に後半は、『容疑者Xの献身』で描かれなかった部分に光が当たります。

石神。

美里。

そして、当時ほとんど名前すら意識されなかった被害者。

20年近く前の作品に対して、まったく別の角度から続きを描く。

これは長く続いてきたシリーズだからこそできることではないでしょうか。

私自身、『永遠の記憶』を読み終えてから『容疑者Xの献身』をもう一度読み返したくなりました。

読み終えて一番残ったのは、事件よりも時間だった

『永遠の記憶』には、もちろんガリレオシリーズらしい謎があります。

「なぜ内海が刺されたのか」

「三崎は何者なのか」

そして、その先にもう一つの大きな謎があります。

ただ、読み終わったあとに私の中で一番残ったのは、トリックそのものではありませんでした。

湯川、草薙、内海。

そして過去作に登場した人たち。

みんなに時間が流れていたことです。

過去に終わったと思っていた事件にも、その後がある。

登場人物にも、その後の人生がある。

読者にとっては本を閉じたところで終わった物語でも、その世界の中では時間が続いている。

『永遠の記憶』は、それを強く感じさせてくれる作品でした。

まとめ|『永遠の記憶』は過去のガリレオまで見え方を変える作品だった

『永遠の記憶』を読み終えて一番驚いたのは、『容疑者Xの献身』とのつながりでした。

20年近く前に描かれた事件の中で、ほとんど意識していなかった一人の被害者。

その人物にも名前があり、過去があり、その人を覚えている人がいた。

そして石神や美里の物語にも、その後があった。

一つの事件の真相を追う物語でありながら、ガリレオシリーズそのものを振り返っているような作品でもあったと思います。

個人的には、事件の真相以上に、最後まで読んだからこそ感じられる登場人物たちに流れた時間が心に残りました。

そして最後に思い出すのは、やはり牡蠣料理を囲む湯川、草薙、内海の3人です。

長く読んできたシリーズだからこそ、あの何気ない時間が少し特別に感じられました。

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この記事を書いた人

2016年から薬局薬剤師としてお仕事をしております。
もふもふの動物が好きです(*´ω`*)
ベンガル、ミックス猫(ヒマラヤン+ラグドール)と楽しく暮らしております。
趣味は読書・アニメ鑑賞・ゲーム・料理です。

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